痛みとは

紀元前から痛みについて「情動」というとらえかたがありました。19Cに痛みは「感覚」であるという概念が唱えられ、
現在では痛みには感覚的要素と感情的要素があると言われています。

また、感覚的な痛みの程度も感情によって強く感じたり、痛みを感じにくいケースもあります。

例えば、戦場における痛みの研究では激戦地から送り返される兵士は重症を負っているのに、痛みを訴えない兵士が多かったようです。安心感、喜び、興奮、生きている実感等、様々な感情が痛みの認知を抑制したと考えられます。

痛みの我慢にも同じ事が言えます。不意を突かれて叩かれるのと、叩かれる事がわかっていて身構えて叩かれるのでは、
意識しているかしていないかでも痛みの程度が違います。

痛みは不快な感覚であり、不快な情動です。外部からの刺激や体内が病的な状態のとき、組織が傷つくと予想されるときに生じる感覚です。痛みは生体のサインとして大事な働きをしています。

 

痛みの種類

危険から身を守る警告系の痛み、全く警告系の意味をもたないがん末期のような痛み、痛みが痛みの悪循環を生み、
多くの悪影響を生む痛みにはいくつかの種類があります。その痛みの原因も大きく3つに分けられます。

◆侵害受容性痛
外来性・内因性の刺激による痛み。膝をすりむいたり、熱いヤカンに触れた時の痛み、外傷など。

◆神経性痛
神経系そのものの機能異常による病的な痛み。帯状疱疹後の痛み、糖尿病による痺れや痛み。外傷こそなくても、神経が原因で起きる痛みです。

心因性疼痛
心理的な問題、社会的要因など神経や身体には問題がないのに感じる痛み。

痛みを止める方法

痛みの多くは末梢の神経系で発生しますが、痛みを認識するのは脳です。

そして痛みの原因がいくつかあるように、痛み止めの方法もいくるかあります。

鎮痛薬としてはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、ステロイド製剤、プロスタグランジン製剤、オピオイドなどがあります。

侵害受容性痛には抗炎症作用のある精油も有効かもしれません。

心因性疼痛には抗鬱作用などがある精油が良いかもしれませんが、またの機会に書きます。

■神経性痛にはオピオイド薬

オピオイド受容体といってモルヒネ様物質の薬理作用に関与する受容体があります。

カルシウムチャネルの機能を抑制し疼痛伝達物質の放出抑制によって鎮痛効果を示します。

弱オピオイド薬物の一種のブプレノルフィンもこの作用機序によって鎮痛剤として使われています。またオピオイド依存の治療薬

としても用いられます。

日本では大塚製薬より「レペタン」という商品名で注射薬の鎮痛剤として販売されています。

メントールは選択的にKオピオイド受容体を作用させる事によって鎮痛作用を持ちます。

またシトロネラールはメントールの合成に関連が深いにおい分子です。

オピオイドペプチドはベンゼン環をもつ芳香族アミノ酸・フェニルアラニンを含みます。

フェニールメチルエーテル類の鎮痛作用は、その成分特徴からフェニルアラニンに関係が深く、オピオイド系の鎮痛作用と考え

られます。

神経性痛に対してのアロマ鎮痛レシピ

ペパーミント   10滴
レモンユーカリ  10滴
バジル      10滴
フェンネル    10滴
キャリアオイル  10ml

お昼から夕方にかけて1日2回、痛む患部と背骨の脊椎ラインに数滴塗布。

急性痛と慢性痛

〇急性痛

急性痛は一般的に刺激によっておこる痛みで、生体にSOSを発しています。痛みの刺激や傷の治癒とともに痛みは解除されます。

痛み情報が脳に達すると、脳は緊急事態と判断して、交感神経系-副腎系の活動が優位になり、副交感神経の活動が抑制されます。

血圧上昇、瞳孔散大、手掌発汗などがみられ、痛みが激しいと脂汗を浮かべて七転八倒します。痛みの時間は短いですが、

神経が過敏化すると慢性痛に移行することもあります。

〇慢性痛

生体のSOSとしての働きとは限らず、痛み自体が疾患で、QOLを著しく損なう場合もあります。

疾患が治癒した後も痛みが持続したり、リウマチ性関節痛や末期のがんのように、刺激自体が長期的に加わり続けて痛むケースも

あります。

慢性痛によって、睡眠障害、神経過敏、食欲不振、便秘、いらいらなどの症状がみられ、見た目の症状以上に本人が過剰な痛みを

訴えたり、痛みへの耐性の低下もみられる。

慢性痛として日常生活に支障をきたす程の頭痛に片頭痛があります。動くと痛い頭痛で、体を動かすと良くなる緊張性頭痛や痛く

て横にもなれない群発性頭痛は急性痛になります。

また、慢性痛患者の1/4~2/3は抑うつと報告されています。

〇急性痛アロマ鎮痛レシピ

レモンユーカリ          10滴
ローズマリー・カンファー     10滴
ラベンダー・アングスティフォリア 10滴
ウィンターグリーン          5滴
イランイラン             5滴
キャリアオイル             10ml

夕方から夜にかけて1日2回、痛む患部と首に数滴塗布。
交感神経を鎮め副交感神経を優位にし、傷の回復を早めるレシピです。

〇慢性痛アロマ鎮痛レシピ

アカマツ・ヨーロッパ 10滴
ブラックスプルース  10滴
ローズウッド     10滴
バジル        10滴
キャリアオイル    10ml

朝から昼にかけて1日2回、痛む患部と腰中心に数滴塗布。
痛みだけではなく、それに関わる諸症状にも有益な結果が出るかもしれません。

体質と香り

鎮痛薬のモルヒネの作用機序とペパーミント(メントール)の作用機序は似ています。

幼弱な犬とモルモットにモルヒネを与えると、母親から隔離された時に泣く事が少なくなる傾向がみられます。

ヒヨコも同様にモルヒネを与えると泣く頻度が減少します。別離の苦痛の症状が緩和されるからです。

嗅覚反応分析の理論ではこのメントールという「におい分子」とモルヒネの相関性から、ペパーミントの香りを人一倍良い匂いに

感じるヒトは、別離の苦痛に人一倍弱いと分析します。他の精油でいうと、オレガノ精油を好むとその傾向はより確実に出てきます。

ペパーミントは女性より男性に人気のある香りです。

失恋に弱い男性、一歩間違うとストーカーになってしまう男性、それに対して旦那に先立たれて長生きする女性。

香りの好みと体質の関係性は非常に奥深く、面白いです😊

精油の鎮痛作用とは

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